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コーヒーで旅する日本/九州編|福岡にいながら世界のカフェカルチャーを体感する。「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」|ウォーカープラス

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

紅茶とエスプレッソを合わせるなど、ユニークなドリンクやスイーツと出合える

九州編の第19回は、福岡市の西新エリアにある「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」。エクスプローラーは探検家を意味する英語。さらに、コーヒー、ティー&アルコール ラボと冠するように、ドリンク、フードともに研究・実験をテーマにするカフェ&バーだ。

兄弟で営む店で、兄の平田雄大さんはバックパッカーで世界中を400日間旅し、82カ国を巡ったそう。弟の貴大さんも世界中を旅するクルーズ客船の乗務員として約5年間勤め、訪れた国は38カ国。兄弟ともに世界の暮らしや食文化、とくにカフェ、コーヒーカルチャーを現地で体感し、その経験を店づくりに活かしている。メニューも他店ではなかなか見ないものばかり。「日本にいながら世界中を旅しているような体験を」とうたう「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」。どんな店なのか見ていこう。

Profile|平田雄大さん(右)、平田貴大さん(左)
雄大さん/1982(昭和57)年、福岡市生まれ。大学卒業後、サラリーマンとして10年間働く。世界一周するための資金を貯め、退職。その後、400日間かけて世界82カ国を巡る。2019年11月に弟の貴大さんと一緒に「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」を開業。店舗では厨房を主に担当。

貴大さん/1988(昭和63)年、福岡市生まれ。製菓学校に入学し、フランスにも留学。南フランスの4つ星ホテルでパティシエとして働く。その後、アイルランドでバーテンダーの修業を積む。帰国後、世界中を巡るクルーズ客船の乗組員になり、およそ5年間勤務。「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」のドリンクやスイーツのレシピを考えるほか、コーヒーの抽出、サービスを中心に行う。

世界のコーヒー、紅茶文化に触れる体験を

古アパートの1階に店舗を構える

店があるのは地下鉄西新駅から南に徒歩10分ほどの住宅街。店構えはいわゆる普通のカフェと変わらないが、メニューが個性的だ。

メニューのレシピ作りを担当する弟の貴大さんは、「レギュラーメニューももちろんありますが、当店の最大の特徴は各国独自のアレンジコーヒー、アレンジティーを楽しめる点。『北米』『ヨーロッパ』『ラテンアメリカ』『中近東・アフリカ』『アジア・オセアニア』と、世界を大きく5つのエリアに分け、およそ4カ月ごとに各エリアのメニューを出すようにしています」と説明。

各エリアで親しまれているコーヒー、紅茶のメニューを期間限定で用意し、例えば2022年4月はアジア・オセアニアのドリンクメニューが並ぶ。ベトナムコーヒー(550円)、エッグコーヒー(650円)、レッドタイ(600円)、マジック(600円)など、一般的なコーヒーショップではなかなか目にしないメニューばかりだ。

【写真】ベトナムで親しまれているエッグコーヒー。エスプレッソに、卵黄とコンデンスミルクを混ぜ合わせたものが入る

貴大さんは、もともとパティシエを目指し、フランスへの留学経験もあることから、菓子作りもお手のもの。定番のスイーツとして、ポルトガルのエッグタルト(350円)、オーストラリアのラミントン(450円)、トルコのバグラバ(400円)など、世界各国のスイーツを用意している。現地でポピュラーなコーヒーや紅茶と、スイーツのペアリングを楽しめるのも「The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-」の魅力の一つだ。

リストレット(※1)のダブルショットにスチームドミルクを合わせたマジックと、キューブ型のスポンジ生地にチョコをコーティングし、ココナッツをまぶしたスイーツ、ラミントン。どちらもオーストラリアではポピュラー

コーヒーひとつとっても選択肢はいろいろ

コーヒーやエスプレッソの抽出は基本、貴大さんが行う

コーヒー系のドリンクに使用する豆は大きく2つ。1つはスペシャルティコーヒーで、福岡市・高砂にあるFILTER SUPPLYから仕入れている。使っているのは(2022年4月現在)、エチオピアのコチャレ地区のナチュラル(※2)。風味が個性的でエスプレッソマシンで抽出し、ミルクなどと合わせることで、より華やかなフレーバーが引き立つ印象。もう1つはイタリアで親しまれているエスプレッソ用の深煎り。どちらもエスプレッソマシンでの抽出が基本で、ドリップコーヒー(470円)にはスペシャルティコーヒーを用いる。

研究・実験をテーマにしていることから、イタリアの深煎りコーヒー、スペシャルティコーヒーの味わいの違いを体験できるエスプレッソ飲み比べ(550円)を用意。さらに、仕入れ先であるロースターから数珠つなぎで次のロースターをレコメンドしてもらう、リレーコーヒー(570円)といったメニューがあるのもユニークだ。

北米エリアのメニューの一つ、ロンドンスモッグ(670円)。紅茶にスチームドミルク、バニラシロップを合わせ、グラスに注ぐ。最後にエスプレッソを入れて完成

兄の雄大さんは、「私自身、世界中を巡り、現地にしかないコーヒーや紅茶を使ったアレンジドリンクをたくさん目にしました。ただ、初めて訪れた国では、どんなメニューかわからないことから、無難に一般的なコーヒーをオーダーすることもありました。せっかく現地のコーヒー、紅茶文化に触れられるチャンスなのに、それはすごくもったいない。弟の貴大もさまざまな国を訪れて、そういった経験をしたことが少なからずあったそうで、それであれば海外に行く前に各国のアレンジコーヒーや紅茶を飲める場所を作ろうと開業を決めました」と話す。

一杯のコーヒー、紅茶、スイーツが視野や世界を広げる

メキシコをはじめラテンアメリカで人気があるミルクケーキ、トレスレチェス(470円)。スポンジ生地にエバミルクや練乳などを混ぜたシロップを吸わせ、しっとりとした口当たり

現地で体験した味わいを日本で再現するだけでなく、自分たちの旅先での経験からヒントを得た『The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-』。店がオープンしたのは2019年11月。ちょうどコロナ禍になる直前だったことから、旅に出発する前の情報収集の場にもしたいと考えてのことだった。コロナ禍により海外への渡航が難しくなり、なかなか当初の予定通りにはいかなかったそうだが、雄大さんも貴大さんも、前を向き続ける。

貴大さんは「また以前のように海外に気兼ねなく行ける日が訪れた時に、私たちの経験が活かされたら良いなと思いますし、渡航できない今だからこそ、当店で世界各国のカフェカルチャーに触れていただけたらと思っています。私たち自身、さまざまな国を訪れ、その経験は自身の世界を広げてくれるということを実感しました。それを多くの人に伝えていきたい」と意気込む。

店内には兄の雄大さんが世界一周をした際に撮影した写真が飾られている

旅好き、コーヒー好き、紅茶好き、酒好き…。なにより人と話すのが好き、という人におすすめしたいカフェ&バー。自家製コーラ(500円)、自家製発酵系ジンジャーエール(500円)、香港式クラブサンドイッチ(1000円)など、コーヒー以外のメニューもオリジナリティにあふれているので、さまざまな楽しみ方ができそうだ。

平田さん兄弟レコメンドのコーヒーショップは「FILTER SUPPLY」

次回、紹介するのは福岡市・高砂にある「FILTER SUPPLY」。
「レギュラーで使うコーヒー豆は『FILTER SUPPLY』さんから仕入れさせていただいています。オーナーの柴田さんが焙煎された豆は個性がしっかり感じられ、私たちの表現したいコーヒーの味わいにピッタリなのがその理由です。私と柴田さんは同い年なのですが、常に新しいことにチャレンジする姿勢も持たれていて、刺激を受けることも多いです」(貴大さん)

【The Explorers -Coffee,Tea&Alcohol Lab-のコーヒーデータ】
●焙煎機/なし
●抽出/ハンドドリップ(Kalita ウェーブドリッパー、HARIO V60など)
●焙煎度合い/中煎り、深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/応相談

※1…エスプレッソの一種。エスプレッソと同量のコーヒー粉で、エスプレッソよりも少ない湯量で抽出する。結果、エスプレッソよりも濃度が高い液体となる
※2…収穫したコーヒーの実を、そのまま果肉がついた状態で天日干しする方法

取材・文=諫山力(Knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉、密集、密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。

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