
ここで売れなきゃ成功しない?ジャカルタの大規模イベントを紹介|コラム-ジャラン ジャラン アジア
東南アジアの最新情報を綴るコラム「ジャラン ジャラン アジア」。1年間の3分の2以上を東南アジア諸国で過ごし、契約バイヤーのほか、ポップアップショップ、展示会出展、ファッションショーの代理店などを行う横堀良男氏が現地の情報をレポートします。
(文・横堀良男)

今年のブライトスポットマーケットの様子。
Image by: 横堀良男
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第13回の記事は、インドネシアは大規模なポップアップが活発という内容で、その例として4日間で8万人が来場するポップアップイベント「ブライトスポットマーケット(Brightspot market)」を取り上げました。今回は実際にブライトスポットマーケットが開催されたので、さらに紹介したいと思います。
ブライトスポットマーケットは年に1回、毎年10〜11月頃に3日間+VIP招待1日の計4日間にわたり開かれます。毎年会場が変わりますが、今年は「プラザスナヤン(Plaza Senayan)」という高級モールにある百貨店の跡地2フロア、5000平米の規模で開催されました。ちなみに、プラザスナヤンは日本の鹿島建設のカジマ・オーバーシーズ・アジアが所有・運営する高級ショッピングモールで、高級ブランドはもちろん、日本企業ではスニーカーの「アトモス(atmos)」なども出店しています。

ブライトスポットマーケットは人がたくさん集まるイベントのため、コロナ禍となった2020年と2021年は中止。復活を望む声が多かったことから、今年1月に急遽復活しましたが、例年の半分サイズで、会場の人数制限や各ブースごとの入場規制など、かなり厳しい管理体制でした。
11月3日から6日まで開催された今回は、3年ぶりに200社が出展するコロナ前と同規模の開催とあって大盛況でした。出展者の半分は飲食で、もう半分はアパレルと雑貨、コスメなどです。アパレルの出展者は多く、近年の日本の厳しいアパレル市況からは考えられないほどインドネシアのアパレル小売は盛況です。コロナ前に開催された2019年10月の会では、来場者数は7万9500人だったそうです。今回の来場者数は6万1200人で、コロナ禍であることを感じないほどの混雑でした。


私も出展者の1人だったんですが、このイベントに参加する理由は売上のためだけではありません。一番の目的は、テストマーケティングです。立ち上がったばかりの無名のブランドでもイベント自体に集客力があるので、十分にテストマーケティングができます。どのようなお客さんが反応してくれるのか、どの味・色・素材が人気か、適正価格なのか。自分自身の肌で感じ、直接お客さんに聞くこともできます。ブライトスポットマーケットで売れなければそのブランドはインドネシアで成功しないと言っても過言ではありません。
正確なデータがあるわけではないので、あくまで感覚値になりますが、今年はコロナ前に比べ、商品単価・客単価共に大きく上昇したと感じました。アイスクリームが500円、チョコクロワッサンが380円、ベーコンサンドイッチは1200円。Tシャツは3500円〜、パンツが4000円〜。日本から出店したブランドのエコバッグは3500円で、2日目に完売していました。
会場全体で、目立っていたのはY2Kファッション(2000年頃のファッションスタイリング)でしょうか。ネオンカラーでお腹丸出しのトップス、フレアやブーツカットのパンツなど。日本でもトレンドとして注目されているY2Kファッションは、インドネシアでも盛り上がっていました。
このイベントは参加するための審査が厳しいことでも有名です。毎年200社分のブースに600〜700の申し込みがあり、3分の2は落とされてしまいます。審査基準は有名か無名かでもなく、出店料も関係ありません。そのブランド・企業が良いかどうかです。そのため、例年3分の1から半分くらいを初参加の出展者が占めています。大きなチャンスなので、海外展開を検討している人は是非参加してみてください。


2022年現在のジャカルタは、まるで2000年前後の東京のストリートファッションシーンのような熱狂があります。いつもこのダイナミックな空気感を伝えたいと思うのですが、なかなか伝えられません。少しでも伝わればと、動画を撮ってきたので良かったら見てください。
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