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「日本がweb3の中心に返り咲くチャンスは残されている」―事業家や国会議員が「web3立国」に向けて議論【THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2022】

 デジタルガレージとDG Labは6月14日、「web3 Summer Gathering ~未来からのテクノロジーの波をサーフしろ~」をテーマに掲げたカンファレンス「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2022」を都内で開催した。この記事では、イベントで実施されたセッションの一部を紹介していく。

クリエイターに所有権と利益をもたらすweb3

Jaeson Ma氏

 Session 4のテーマは「web3立国になるための日本の成長戦略」。前半ではweb3の投資家や事業家の目線から日本企業はどうweb3の波に乗ればいいのか、後半では政治が国家戦略としてどう取り組むべきかが議論された。

 最初に登壇したのは、web3クリエータープラットフォーム「OP3N(オープン)」の共同創業者、Jaeson Ma氏。講演の冒頭にトレーラー(予告編映像)を流し、「この作品はNFTやweb3を通して資金調達したものです」と話し始めた。

 Jaeson Ma氏は、インターネットの歴史を振り返り、Web 2.0ではユーザーはデータを読んだり書いたりできるようになったが、データの所有は人々にはなく、FAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグル)といった巨大企業が独占している。web3の登場によって、人々はデータそのものを分散所有できるようになると話した。

 特に経済的な影響が大きいのは、エンターテインメントやクリエイターの分野で、NetflixやYouTubeといったプラットフォームから課せられている数十%もの手数料から解放されるという。氏の友人であるDJの3LAU(ブラウ)は、新しいアルバムをNFTとしてリリースし、自分のファンから1100万ドルもの資金調達を行ったと、具体事例を紹介した。

 現在、web3の領域で存在感を示せていない日本ではあるが、日本の文化やIP(知的財産)はすでに世界に大きな影響を持っていると、Jaeson Ma氏は指摘した。

 例えば世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」では、トップコレクションの多くがアニメなど日本文化の影響を受けたものだと話し、「web3で日本が想像力を発揮すれば、それを発信して世界に提供できる」と語った。そしてクリエイターがNFTを発行・販売できるプラットフォーム「OP3N」が、そのために資金調達を含めて協力できるという言葉で講演を締めくくった。

web3クリエータープラットフォーム「OP3N」は、NFTの発行・販売・購入の機能に加えて、Discordのようなコミュニティ機能を備える

日本がweb3の中心になれる条件はそろっている

大日方 祐介氏

 続いて登壇した大日方 祐介氏は、2018年から日本のweb3/ブロックチェーン業界の立ち上げに注力し、イーサリアムジャパンや日本初のweb3カンファレンスを主宰した経歴を持る。現在は、グローバルでのweb3エコシステム構築に携わっている。

 大日方氏は、2017年から18年始めにかけて、日本はweb3の中心になりつつあったと話を切り出した。

「当時、日本で開催された技術者向けのカンファレンスは盛況で、開発者のコミュニティも広がりを見せ、海外からも認識されていました。web3の提唱者であるGavin Wood(ギャビン・ウッド、イーサリアム共同創設者/Polkadot創設者)も日本が好きで年に2~3回来日し、日本の開発者に刺激を与えてくれていました」

 しかし、仮想通貨の安全性が問われる事件や規制強化により、2018年なかば以降には、これらの活動が停滞してしまう。ただ、web3において日本が返り咲くチャンスはまだ残されているとして、その理由を語った。

「web3では、シリコンバレーの地位も揺らいでいます。というのも、国や都市ごとに暗号資産に対する規制や税制が変化しているからです。さらに、リモートワークが進んだこともあって、スタートアップの起業家や投資家のフットワークは軽く、すばやく移動します。有名なのはスイスや、シンガポール、ドバイですが、Web 2.0までは日の目を見なかった小さな都市や国家にも大きな可能性があります。ビットコインを法定通貨にすると発表したエルサルバドルに注目が集まってますし、アメリカではマイアミやテキサスに大きなコミュニティができています。特に注目したいのが、ポルトガルのリスボンです。ドイツが暗号資産の税制を変える姿勢を見せたことで、一躍人が流れてきてコミュニティの中心になりました」

 web3に携わる人々は若く、特に開発者は10~30代が中心だとし、彼らを引きつけるのは税制だけでは不十分だと大日方氏は語る。

 「リスボンは世界最大規模のカンファレンスを誘致するなど、もともとテック企業に好意的な姿勢もありますが、文化が豊かで、治安もそこそこ良く、ご飯が美味しいといった魅力のある街で、そこが若い開発者たちを引きつけているのです。そういう意味では、日本の東京ほど良い条件が揃っている街はなかなかありません。日本のアニメの世界観は界隈の人に好まれていますし、ご飯も美味しい。治安に関しては東京より優れた街は世界に存在しないと思うぐらいです。逆に言えば、規制や税制さえ整えば、日本が中心になるチャンスは大きいと考えています」

 大日方氏は最後に、2017~18年に日本がweb3の中心になりかけていた原動力は若者の熱量にあったとし、「若い世代の人には、ぜひ英語での情報収集と発信をしてほしい。日本人として世界で結果を出すことで、結果として国や政府を動かしていける。若い人を応援して一緒に頑張っていくことで、日本のweb3の未来を作っていきたい」と語った。

パネルディスカッションでは、藤岡 桃子氏(NFT及びウォレットのソリューションを提供するParasolビジネスデベロップメントマネージャー)を加え、日本でweb3ビジネスを阻害している要因や可能性について話し合われた

世界のweb3起業家が日本に集まるよう税制も変えていく

平井 卓也氏

 最後の講演は、衆議院議員である平井 卓也氏が行った。平井氏は2010年からITの分野に携わり、初代のデジタル大臣に就任したことも記憶に新しい。現在は自民党デジタル社会推進本部長を務めている。

 「今日ここに来る途中に思い出したのは、ビットコインが最初に日本で議論になったときのことです。金融庁も経産省もやりたがらなかったのですが、結局は『価値記録』として扱われることになった。通貨ではないので、ビットコインを買うとき、そしてビットコインを使って買い物をするときも消費税がかかっていました。懐かしい時代です。それから法律を整備して、今は暗号資産という言い方をしています。ビットコインも始まって13年が経ち、1つの経済圏を作った。よくぞ信用創造ができたなと思います」と感慨深く過去を振り返った。

 「2020年以降にweb3が盛り上がり、去年ぐらいからこの経済圏は日本の成長戦略に重なってくると認識しました。今年の1月にNFT政策検討プロジェクトチームを立ち上げ、3月にホワイトペーパーを出させていただきました」と自民党としての取り組みを話した。

 そして、日本の法律は、業界ごとに監督官庁が決められているが、デジタルの領域においては省庁を横断して考えないと前に進まないと、問題点を指摘。その上で、岸田内閣の「新しい資本主義」や「骨太の方針」には、NFTのホワイトペーパーで提言した内容が取り入れられていると説明した。

 さらに、金融緩和によって大量に発行されたお金の受け皿として暗号資産は魅力であり、新しい価値のデジタル化が成長戦略につながるとして、国としても取り組んでいると話した。

 規制に関しては、安全性や信用面での配慮も必要としながらも、日本で暗号資産に反対する勢力はそれほど強くはなく、むしろ日本はweb3にフレンドリーなメンタリティを持っていると平井氏は語る。

「その理由はいくつかありますが、例えばDAOのような考え方は、日本において今に始まったことではありません。昔の河川の管理、水利権も見方を変えれば1つのDAOです。農耕民族ということもあり、共同体としてお互いをリスペクトしながら利益を享受するやり方には昔から慣れてたと考えます」

 平井氏は、人口800人の山古志村がNFTを発行した例を挙げて、web3的な考え方を日本人は自然に受け入れる精神的な土壌があるとした。そして、日本には光ファイバーや4G/5Gといった通信インフラが整備されていることを強調し、「ここには、完璧にやろうとする日本らしさが現れています。ぜひweb3をこの日本を実験場のように使ってもらいたい。日本はそれなりに大きな市場があり、日本で新しいビジネスを始めてもらい、このマーケットで成功すれば、より広くアジアなどに拡大できる可能性があります」と語った。

 最後に平井氏は、問題となっている税制にも言及した。

「ガバナンストークンに対する課税、未確定利益に対する課税はどう考えてもおかしい。違うコインに変えただけで課税されるのもいかがなものかと思います。今後、最低限のフレンドリーな環境を作っていきますので、web3に関わる世界の皆さんに、その一部でも日本に拠点を置いて始めてくれる人が増えたらいいなと思っています」

渋谷区長の長谷部 健氏を加えたパネルディスカッションでは、web3と国や地方自治体の関わりについて議論。平井氏は「法律を変えるのは大変だが、ガイドラインだけでも動かせることはできる」、長谷部氏は「消費者保護などの観点でネガティブチェックは強いが、小さくても成功事例を作っていくことが大切」と話した。さらに、デジタル地域通貨やCO2排出権のトークン化についても話が及んだ


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