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ボンクリ・フェス2021――藤倉大と大友良英の言葉から考える、赤ちゃんからシニアまで楽しめる音楽祭の魅力 | Mikiki

Dai Fujikura©Alf Solbakken

ボンクリとボク

 ボンクリが早くも5歳になる。親がどれだけ手をかけ、思いを注ごうとおかまいなく、こどもは好きに遊び、勝手に育ってしまうものだろう。

 〈Born Creative〉というのは、生まれつき創造的ってこと。「大人になっても5歳のこどものままクリエイティヴでいる人達の作品を、赤ちゃんからシニアまでが楽しめる音楽祭」と生みの親、アーティスティック・ディレクターの藤倉大は言うけれど、〈新しい音〉を楽しく探しているうちに、このフェス自体がすくすく5歳に育ってしまった。

 「毎年思うのは、世界にはこんなに面白い音楽が作られ、発表されているんだなあ、ということ」。とは多くの聴き手がもった感想であるとともに、まずは藤倉大の言葉。「僕が聴いてみたい音楽、もっと知りたい音楽、僕が学びたいと思うアーティスト」を招いてきた作曲家の実感だろう。初回からずっと参画してきた大友良英は「他ジャンルへの興味と好意が、フェス全体の背景にあるところが嬉しいし素晴らしいです」とボンクリの〈懐の深さ〉を讃え、「その上で現代音楽の延長線上にある様々な試みにもしっかり光を当てている」とその魅力を端的に語った。

 ボンクリのよさは、その場で触れてみないと、なんだかよくわからないところにある。なんだかよくわからないけれど、おもしろそうだから行ってみよう、と思わせる力があってこそのフェスだとも言える。

 たくさんの場所があり、場所は出会いのためにある。通り道があって、いろいろなところに行ける。東京芸術劇場のあちこちで、多種多様な音楽が鳴り響く。それぞれに固有の時間と空間があり、そのときどきの響きや移ろいがある。出かけるときは手ぶらでいいし、地図も辞書もスマホもいらない。だけど、面白がる心はずっともったままのほうがいい。

 でも、まっさらな心で感じきるのは、かんたんなはずで、けっこうむずかしいことだったりする。だから、「大人になっても5歳のこどものまま」と藤倉大も言っていたのだろう。たよりになるのは、いまも自分のなかにいる5歳のボクだ。ボンクリとボクの関係はそこからはじまる。けれど、15でも、25、35でも……その先いろいろのぼくとも遊ぶことになる。そこが、いい。

 どんなことになるのかわからないが、きっと楽しいことが起こる気がする。盆暮れが一度にきたような祭りだ、ボンクラのぼくでも楽しめそうな。

 ボンクリは朝から夜にかけて、大きく3種のメニューで構成される。まずはデイタイム・プログラムで、アトリウム・コンサートとワークショップ・コンサート。檜垣智也が監修する新作づくしの〈電子音楽の部屋〉と、雫境と牧原依里が誘う〈音のない“オンガク”の部屋〉も無料で楽しめる。そのほか、〈笙の部屋〉、〈箏の部屋〉、〈ノマドの部屋〉、〈トーンマイスター石丸の部屋〉、〈子どもボンクリ〉などが、多様な住人の手で企画されている。

 土曜日の午後はコンサートホールで〈スペシャル・コンサート〉。ボーダーレスに活躍する音楽家たち――藤倉大、大友良英、八木美知依、東野珠実、山崎阿弥、ヤン・バングが手がける6曲もの新作が世界初演されるのが楽しみだ。オープニングには、藤倉大の新作“芯座”が、若きソリストLEOの箏で披露される。

 箏の八木、笙の東野はそれぞれ、昨年藤倉の“Longing from afar”のリモート演奏に参加したが、新作はこの経験をふまえたもの。八木美知依は藤倉との共作プロジェクトから生まれた“桃の実”で、4種の箏と歌のアンサンブルを聴かせる。東野珠実が書き下ろした“円環の星筐”は〈リモート合奏に対する返歌〉として、笙と尺八の合奏が同じ空間のなかでひとつの楽器を生み出すように構想された。

 そして、大友良英は昨年に続いてアンサンブル・ノマド、ノマドキッズのこどもたちとともに登場。〈楽しくやれるジャズ的なコンポジション〉を新作として考えているという。そのほかにも、佐藤紀雄が指揮するアンサンブル・ノマドが、ジョージ・ルイスの“Shadowgraph 5”(日本初演)、藤倉大の“infinite string”を演奏する。

 夜がくれば、〈大人ボンクリ〉。コンサートホールが巨大なリスニングルームとなり、ボンクリな表現者の面々が厳選した電子音楽をたっぷりと楽しめる。

そうして、朝から夜まで、さまざまな音に触れる日になる。

 


LIVE INFORMATION

ボンクリ・フェス2021

2021年10月1日(金)、2日(土)東京・池袋 東京芸術劇場  館内各所

ボンクリ前夜祭

糸と絲の部屋


2021年10月1日(金) ※開演時間・会場は後日発表

出演:本條秀慈郎(三味線)/木村麻耶(箏)/LEO(箏)/小濱明人(尺八)

スペシャル・コンサート

2021年10月2日(土)

開場/開演:13:00/14:00

出演:アンサンブル・ノマド(指揮:佐藤紀雄)[5, 7, 8, 9]/LEO(箏)[1]/山崎阿弥(声)[2]/星筐の会[東野珠実(笙)/三浦礼美(笙)/五月女愛(笙)][3]/尺八アンサンブル 風雅竹韻[村澤寶山/柴香山/吉越瑛山/風間禅寿/笠原道樹/庄野文山][3]/八木美知依Talon[八木美知依/磯貝真紀/高橋弘子/木村麻耶](箏アンサンブル)[6]/大友良英[8]/ノマド・キッズ[5, 8]

曲目

1. 藤倉大 “芯座”(世界初演)

2. 山崎阿弥 “新作”(世界初演)

3. 東野珠実 “円環の星筐 -笙と尺八合奏のための-”(世界初演)

4. ヤン・バング&藤倉大 “Night Pôles River(feat. アルヴェ・ヘンリクセン、アイヴィン・オールセット)”(世界初演)

5. ジョージ・ルイス “Shadowgraph 5”(日本初演)

6. 八木美知依 “桃の実”(世界初演)

7. マリオ・ディアス・デ・レオン “2匹の蛇の祭壇”

8. 大友良英 “新作”(世界初演)

9. 藤倉大 “infinite string”

※都合により出演者・曲目・曲順等が変更になる可能性がございます。

誰でも楽しめる! 無料プログラム

■アトリウム・コンサート

2021年10月2日(土) ※開演時間・会場は後日発表

出演者:未定

■電子音楽の部屋

監修:檜垣智也

■音のない“オンガク”の部屋

出演:雫境/牧原依里/佐沢静枝/那須映里/西脇将伍

新しい音への扉を開く! ワークショップ・コンサート!

2021年10月2日(土) ※開演時間・会場は後日発表

■笙の部屋

演奏:東野珠実(笙)ほか

■箏の部屋

演奏:道場[八木美知依(箏)/本田珠也(ドラムス)]

■トーンマイスター石丸の部屋

講師:トーンマイスター石丸/関根愛

■ノマドの部屋

演奏:アンサンブル・ノマド

■子どもボンクリ

案内人:酒井雅代/山崎朋/柳澤藍

演奏:小濱明人(尺八)/本條秀英二(三味線)ほか

大人ボンクリ

コンサートホールで行う出演者なしの電子音楽コンサート

2021年10月2日(土)

開場/開演:19:00/19:30

楽曲シークエンス:Nagie

https://www.borncreativefestival.com/


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