夏も終わりを迎え、周囲の野山は濃い緑から徐々に色彩を変化させていきます。樹木は、いつの時代も伴侶のように人に寄り添い、季節の移ろいや時の流れを伝えてくれます。
また、樹木は聖なるもの、永遠の象徴であり、アートの世界でも描かれ続けています。バルビゾン派の画家たちは、自然の中での人の営みを写実的に捉えようとしました。また、印象派の画家たちは光の効果を求め、戸外へ出かけてゆきました。
風景画の構成要素の一つだった樹木は、時代の流れによって、やがて主題となり抽象画の素地を形成していきます。
本展では、作品の背景として見られがちな“樹木”をキーワードに、コローからモネやピサロ、ルドン、マティスまで、フランス風景画の変遷を辿ります。時代や作家によって変化する樹木の描き方を見比べてみましょう。